郵便飛行家リヴィエールと冒険飛行家ファビアンの一夜に、当時確立されていなかった郵便飛行のありかたを表しながら、壮大なスケールと華麗な筆致で描き、1931年にフランスの最高の文学賞であるフェミナ賞を受賞した、サン・テグジュペリの「夜間飛行(VOL DE NUIT)」。「星の王子さま」と双璧をなす彼の代表作であるこの作品に感銘を受けたジャック・ゲランが1933年に創った同名の香水「夜間飛行」は、あらゆる香りの系統を超え、香水全体を通じた名香として認知され、現在に至っています。
飛ぶことを愛したテグジュペリのロマンティシズム溢れる精神が見事に香りで表現され、身にまとうと、ふと遠い空を仰ぎ見てしまうような、確固とした情緒を湛えた普遍の香水です。
基調はセピア色の空を思い浮かべられそうなオリエンタル・ウッディ・スパイシー。ベルガモットが香り立つトップ。ガルバナムが穏やかな甘さを広げるミドル。そしてウッド、スパイス類、アイリス、水仙、バニラなどが寄り添い、深い感情を生み出すラスト。気高く、かすかに童心を垣間見せるその調香の妙は、確実に芸術の域に到達しています。意匠を凝らした格調高いボトルも見事。今作は、部屋の片隅に佇んでいるだけでも存在感を発揮する、そんな香水です。 |